「セキュリティBPOとは何か」「情シスの代わりになるのか」「どこまで任せられるのか」。
こうした疑問に答えるために、本記事ではセキュリティBPOの基本と活用の考え方を、実務目線で整理します。
メリット・デメリット、主なサービス内容、内製との使い分け、選定時のポイントまでを解説しますので、自社の体制検討の参考にしてください。
セキュリティBPOとは?企業の安全を守る外部委託の全貌
セキュリティBPO(Business Process Outsourcing)とは、企業のセキュリティ対策に関する業務プロセスの一部、または全体を、専門的な知識と体制を持つ外部事業者に委託することを指します。単に作業を外注するのではなく、運用設計や改善提案を含めて、継続的な運用を任せる点に特徴があります。
セキュリティ監視やインシデント対応、脆弱性管理といった業務は、専門性が高く、かつ継続的な対応が求められます。
こうした領域を自社だけで完結させることが難しい場合に、外部の専門組織の体制やノウハウを活用する方法として、セキュリティBPOという選択肢が検討されます。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の基本
BPOは、もともと経理や人事、コールセンターなど、企業活動を支える業務を対象に広く活用されてきました。業務の一部を単に外部に委ねるのではなく、業務プロセス全体を外部に委託することで、自社のリソースを製品開発や営業活動といった中核業務に振り向けることを目的としています。
この考え方は、コストの最適化や業務品質の安定化を図る手段として、多くの企業で採用されてきました。
セキュリティ分野におけるBPOも、こうした考え方を応用したものと位置付けることができます。
セキュリティ業務におけるBPOの役割
セキュリティ分野におけるBPOは、サイバー攻撃の監視、ログの分析、脆弱性診断、インシデント発生時の初動対応支援など、専門性が高く、かつ継続的な運用が求められる業務を主な対象とします。これらの業務は、SOC(Security Operation Center)が担う機能とも重なる部分があります。SOCは、セキュリティイベントの監視や分析、インシデントの検知といった運用機能を担う体制や組織を指します。
一方で、セキュリティBPOは、そうしたSOCの機能を含むセキュリティ運用業務について、「どの範囲までを、どのような形で外部に委託するか」という運用形態や契約の考え方を指すものです。
つまり、SOCはセキュリティ運用の中核となる機能や体制の一つであり、セキュリティBPOは、それらの運用業務を外部に委ねる際の枠組みの一つ、と整理することができます。
これらの業務を外部の専門組織に委ねることで、自社で専門人材を採用し、教育し、体制を維持する場合と比べて、運用負荷を抑えながら一定の水準のセキュリティ体制を構築できる可能性があります。
なお、実務上は社内の情報システム部門(いわゆる情シス)が、自社の環境やリスクを整理したうえで、どの業務を外部に委ね、どこを自社で担うかを設計し、BPO事業者と役割分担を行うケースが一般的です。
ただし、すべてを任せればよいという考え方ではなく、後述するように、役割分担や委託範囲の設計が重要になります。
関連記事:SOC(ソック)とは?役割・CSIRTとの違いと導入形態をわかりやすく解説【中小企業向け】
セキュリティBPOを導入する4つのメリット
セキュリティBPOを導入することで、セキュリティ運用の体制や業務負担の面で、いくつかの利点が見込まれます。ここでは、実務の観点から代表的な四つのメリットについて整理します。ただし、これらの効果は、委託範囲やサービス内容、契約条件によって左右される点には注意が必要です。
高度な専門知識と最新ノウハウを活用できる
セキュリティBPOを提供する事業者は、複数の企業のセキュリティ運用を継続的に支援する中で、攻撃手法の変化や対策技術の動向に関する知見を蓄積しています。こうした専門的な知識や運用ノウハウを活用することで、自社だけで対応する場合と比べて、より幅広い脅威を想定した運用体制を構築できる可能性があります。結果として、新たな攻撃手法への対応や、運用面での改善に取り組みやすくなります。
本来のコア業務にリソースを集中できる
セキュリティログの監視やアラート対応、各種セキュリティ機器の運用管理といった業務は、専門性が高く、継続的な工数を要します。これらの運用業務の一部をBPOに委ねることで、情報システム部門や管理部門の担当者は、IT戦略の企画や業務システムの改善といった、本来注力すべき業務に時間を割きやすくなります。その結果、部門全体の業務の優先順位を整理しやすくなる効果が期待できます。
セキュリティ対策にかかるコストを最適化できる
自社で専門的なセキュリティ人材を確保する場合、人件費に加えて、継続的な教育やスキル維持のためのコストも発生します。また、監視や分析に必要なツールや設備の導入、維持にも一定の投資が必要になります。セキュリティBPOでは、こうした人材や基盤を複数の企業で共有する形になるため、個社単位で体制を構築する場合と比べて、コスト構造を見直しやすくなる場合があります。ただし、実際の費用対効果は、委託範囲やサービス内容によって異なるため、個別に検討することが重要です。
24時間365日の監視体制を構築できる
サイバー攻撃は、業務時間内に限らず、夜間や休日に発生することも少なくありません。自社の担当者だけで常時監視体制を維持することは、体制面やコスト面の両方で負担が大きくなる傾向があります。
セキュリティBPOを活用することで、専門の担当者による継続的な監視体制を前提とした運用を検討しやすくなり、異常の早期検知や初動対応の迅速化につながる可能性があります。
セキュリティBPOの3つのデメリット
セキュリティBPOには、運用負担の軽減や専門性の活用といった利点がある一方で、導入にあたって注意すべき点も存在します。これらを十分に理解しないまま導入すると、期待した効果が得られないだけでなく、新たなリスクを抱える可能性もあります。ここでは、実務の観点から代表的な三つのデメリットについて整理します。
外部委託による情報漏洩リスクの可能性
セキュリティBPOでは、ログデータや設定情報、場合によっては機密情報や個人情報を含むデータを外部の事業者と共有することになります。そのため、委託先のセキュリティ管理体制が不十分であった場合、情報漏洩につながるリスクを完全に排除することはできません。
このリスクを低減するためには、委託先がどのようなセキュリティ対策を講じているか、情報管理のルールや体制が整備されているか、第三者認証の取得状況などを事前に確認することが重要になります。
また、契約面においても、責任範囲や情報の取り扱いに関する取り決めを明確にしておく必要があります。
社内にセキュリティのノウハウが蓄積しにくい
セキュリティ運用を広い範囲で外部に委ねた場合、日常的な監視や分析、インシデント対応の実務経験が社内に残りにくくなる傾向があります。その結果、セキュリティに関する判断を外部に依存しやすくなり、将来的に内製化を検討する際や、体制を見直す際にハードルが高くなる可能性があります。
この点については、定期的なレポートの共有や運用状況の説明を受ける機会を設けるなど、委託先との情報共有の方法をあらかじめ設計しておくことが現実的な対策になります。
セキュリティBPOを活用する場合でも、自社側に一定の理解と判断能力を残しておくことが重要です。
委託できる業務範囲の判断が難しい
セキュリティ業務は、監視や分析といった運用面から、ポリシー策定や意思決定といった管理面まで、幅広い領域にまたがります。そのため、どこまでを外部に委ね、どこからを自社で担うのかという線引きを適切に行うことは、必ずしも容易ではありません。
自社の課題やリソースの状況を十分に整理しないまま委託範囲を決めてしまうと、期待した効果が得られなかったり、役割分担が曖昧になったりする可能性があります。
導入前には、現在の体制や運用上の課題を整理したうえで、どの業務を対象とするのかを段階的に検討することが求められます。
なぜ今セキュリティBPOが必要とされるのか?3つの背景
セキュリティBPOが注目されるようになっている背景には、企業を取り巻くIT環境や事業環境の変化があります。従来の体制や考え方だけでは対応が難しくなりつつある状況が重なり、外部の専門組織を活用する選択肢が現実的なものとして検討されるようになっています。ここでは、特に影響が大きい三つの背景について整理します。深刻化するセキュリティ人材の不足
セキュリティ対策の重要性が高まる一方で、専門的な知識や実務経験を持つ人材の確保は、多くの企業にとって容易ではない状況が続いています。経済産業省(※)をはじめとする公的機関の調査でも、IT人材全体の不足が指摘されており、セキュリティ分野ではその傾向がより顕著であるとされています。※ 経済産業省「情報技術利用促進課IT人材需給に関する調査」より
自社で必要な人材を採用し、育成し、長期的に体制を維持することは、コスト面や組織運営の面でも大きな負担になります。このような状況の中で、外部の専門組織の知見や体制を活用することが、現実的な選択肢の一つとして検討されるようになっています。
日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃
ランサムウェアや標的型攻撃など、サイバー攻撃の手口は年々変化しており、攻撃の対象や方法も多様化しています。攻撃者は新しい技術やシステムの脆弱性を継続的に狙うため、企業側も最新の脅威動向を把握し、対策を見直し続ける必要があります。こうした対応を継続的に行うためには、専門的な知識だけでなく、日常的な情報収集や運用体制の維持が求められます。すべてを自社だけで担うことが難しい場合、専門組織が持つ知見や運用経験を活用するという考え方が、現実的な対応策として検討されるようになっています。
DX推進による新たなセキュリティリスクの増大
クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの定着など、デジタルトランスフォーメーションの推進は、業務の効率化や柔軟な働き方を実現する一方で、管理すべきシステムやデータの範囲を広げる結果にもつながっています。その結果、従来よりもセキュリティ対策の対象領域が複雑化し、管理の難易度が高まっています。社内と社外の境界を前提としない考え方が広がる中で、従来型の対策だけでは十分とは言えない場面も増えています。このような環境変化に対応するため、運用面を含めたセキュリティ管理体制の見直しが求められ、外部の専門組織を活用する選択肢が検討されるようになっています。
セキュリティBPOの主なサービス内容
セキュリティBPOで提供されるサービスは、企業のシステム構成やリスクの状況に応じてさまざまです。すべての企業が同じ内容を利用するわけではなく、必要な領域を組み合わせて活用する形が一般的です。ここでは、代表的なサービスの内容と、その位置付けについて整理します。セキュリティBPOの業務範囲
①SOC:ログを常時監視し、異常検知と初動対応を支援する運用中枢
②脆弱性診断:システムの弱点を洗い出し、対策の優先度を整理する点検
③EDR:端末の不審な挙動を検知し、被害拡大を防ぐ監視と対応
④コンサルティング:体制やルールを見直し、全社の対策方針を整える支援
① セキュリティ監視・運用(SOCサービス)
セキュリティ監視・運用は、SOC(Security Operation Center)と呼ばれる体制を通じて提供されることが多いサービスです。ファイアウォールや各種セキュリティ機器、サーバーなどから出力されるログを継続的に収集し、専門の担当者が内容を確認・分析します。
異常な通信や不審な挙動が検知された場合には、状況の確認や影響範囲の整理が行われ、必要に応じて初動対応に関する助言や支援が提供されます。こうした運用を継続的に行うことで、インシデントの兆候を早期に把握しやすくなる点が、このサービスの特徴です。
業務範囲:
各種ログの収集および継続的な監視
アラートの確認と一次分析
異常検知時の状況整理と初動対応支援
定期レポートの作成と運用状況の共有
特徴:
24時間365日体制での継続監視を前提とした運用
ツールだけでなく、専門担当者による分析を重視する点が特徴
インシデントの早期発見と被害拡大の抑制に重点を置く
② 脆弱性診断とリスク評価
脆弱性診断とリスク評価は、システムやWebサイトに潜在する弱点を洗い出し、攻撃を受ける前に対策の優先順位を整理するための取り組みです。ツールによる自動診断に加え、専門家の視点による確認を組み合わせることで、設定不備や設計上の問題点まで含めて把握することができます。
業務範囲:
システムやWebサイトに対する脆弱性診断の実施
発見された脆弱性の内容整理と危険度評価
修正優先度の整理と対応方針の提示
診断結果レポートの作成と説明
特徴:
攻撃を受ける前の予防に重点を置く取り組み
技術的な問題点を可視化し、対策の優先順位を明確にできる
定期的に実施することで、リスクの変化を継続的に把握できる
③ エンドポイントセキュリティ対策(EDR運用など)
エンドポイントセキュリティ対策は、PCやサーバーなどの端末を対象に、不審な挙動の検知やインシデント発生時の状況把握を行う取り組みです。従来のウイルス対策ソフトでは検知が難しい攻撃にも対応するため、EDRなどのツールを活用し、日常的な監視と運用を行います。
業務範囲:
EDRなどのセキュリティツールの運用・管理
端末の挙動監視とアラートの確認
不審な挙動が検知された際の初期調査支援
インシデント発生時の状況整理と影響範囲の把握
特徴:
端末レベルの不審な挙動を早期に検知できる
ツールの運用を通じて、従来見えにくかったリスクを可視化できる
SOCなどの監視体制と組み合わせることで効果を発揮しやすい
④ セキュリティコンサルティング
セキュリティコンサルティングは、個別の運用業務にとどまらず、企業全体のセキュリティ体制やルールを見直すための支援を目的としたサービスです。組織の規模や業種、現在の体制に応じて、方針や運用の整理を行い、継続的に改善していくための土台づくりを支援します。
業務範囲:
セキュリティ体制や運用状況の現状評価
ポリシーや社内規程、運用ルールの整備支援
ISMSなどの認証取得・運用に関する支援
従業員向け教育や運用プロセス改善の支援
特徴:
技術対策だけでなく、組織や運用の視点から整備を行う
企業の状況に応じて内容を調整しながら進められる
中長期的なセキュリティ体制の底上げを目的とする
セキュリティBPOに任せられること・任せられないこと
セキュリティBPOを活用する際には、どの業務を外部に委ね、どの部分を自社で担うのかを整理しておくことが重要です。セキュリティ対策をすべて外部に任せればよい、という考え方ではなく、あくまで役割分担を前提に運用することが現実的です。日々の監視や運用といった業務は外部に委託しやすい一方で、セキュリティ方針の決定や最終的な判断・責任は、企業側が担う必要があります。
実際の運用では、社内情シスが自社環境の把握や方針設計、ベンダーとの調整窓口を担い、日々の監視や分析といった実務をBPOに委ねる、という役割分担になるケースが多く見られます。
たとえば、次のような業務はセキュリティBPOに任せやすい領域です。
・ログの監視やアラートの分析
・セキュリティツールの運用や一次対応の支援
・運用レポートの作成や状況の可視化
・脆弱性診断や定期点検の実施支援
一方で、次のような領域は企業側が主体的に担う必要があります。
・リスク許容度やセキュリティ方針の決定
・経営判断や対応方針の最終決定
・業務プロセスや統制に関する責任の所在
・対外説明やインシデント対応における最終判断
このように、セキュリティBPOは運用を外部化するための仕組みであり、責任や判断までをすべて委ねるものではありません。自社の体制や目的に応じて、委託範囲と内製範囲を整理したうえで活用することで、はじめて効果を発揮します。
セキュリティBPOは情シスの代わりになる?
よく「セキュリティBPOを入れれば、情シスの代わりになるのか?」と聞かれますが、結論から言えばセキュリティBPOは情シスの代替にはなりません。セキュリティBPOはあくまで運用実務を支える仕組みであり、方針決定や統制、最終判断は、引き続き企業側(情シス・経営)が担う必要があります。
セキュリティ運用は内製とBPO、どう使い分けるべきか?
セキュリティ運用の体制を検討する際、「すべて内製で対応すべきか」「外部サービスを活用すべきか」で悩む企業は少なくありません。結論から言えば、どちらか一方が常に正解というわけではなく、自社の規模や体制、リスクの許容度に応じて、現実的な形を選ぶことが重要です。
ここでは、内製で対応する場合に求められる体制と、BPOを活用した場合の役割分担の考え方、そして実務上よく選ばれる運用パターンについて整理します。
内製で対応する場合に求められる体制とリソース
セキュリティ運用を内製で行う場合、単に担当者を一人置けば済むという話ではありません。日々のログ監視やアラート対応に加え、インシデント発生時の初動対応、原因分析、再発防止策の検討までを継続的に回していく体制が必要になります。
また、サイバー攻撃の手法や技術環境は常に変化しているため、担当者には継続的な学習やスキルアップも求められます。24時間365日の監視体制を自社だけで維持しようとすれば、複数名の要員確保やシフト体制の構築も必要になり、人的・コスト的な負担は決して小さくありません。
そのため、内製での運用は、十分な人材と予算を確保できる企業にとっては有効な選択肢になり得る一方で、多くの企業にとってはハードルが高いのも現実です。
BPOを活用した場合の役割分担の考え方
一方で、BPOを活用する場合は、日常的な監視や分析といった運用業務を外部の専門組織に委ねることができます。これにより、自社で専門人材を常時確保することが難しい場合でも、一定水準のセキュリティ運用体制を維持しやすくなります。
ただし、BPOはあくまで運用を外部化する仕組みであり、セキュリティに関する方針の決定やリスク許容度の判断、最終的な意思決定までを外部に委ねることはできません。これらは引き続き、企業側が主体的に担う必要があります。
そのため、BPOを活用する場合には、「どこまでを外部に任せ、どこからを自社で判断するのか」という役割分担をあらかじめ整理したうえで運用することが重要になります。
「すべて外注」か「一部外注」かという現実的な選択肢
実務の現場では、「すべて内製」か「すべて外注」かという二択ではなく、「一部を外部に委ねる」という形が選ばれるケースが多く見られます。
たとえば、SOCによる監視やEDRの運用、脆弱性診断といった専門性や工数のかかる領域はBPOを活用しつつ、セキュリティ方針の策定や対応方針の最終判断は自社で行う、といった役割分担です。
このように、自社の体制やリスクの考え方に応じて、内製とBPOを組み合わせることで、無理のない形でセキュリティ運用を継続することが可能になります。重要なのは、理想論ではなく、自社が継続的に運用できる現実的な体制を設計することです。
セキュリティBPO選定で失敗しないための検討ポイントと判断の進め方
自社に最適なセキュリティBPOサービスを選ぶためには、価格や知名度だけで判断するのではなく、運用体制や役割分担まで含めて総合的に比較する必要があります。ここでは、導入時に特に確認しておきたいポイントを整理します。導入前に整理しておきたい、自社の前提条件
セキュリティBPOは、外部に任せれば自動的に安全になる仕組みではありません。
効果を出すためには、導入前に自社の現状を整理し、どこまでを外部に委ねるかを判断できる状態をつくる必要があります。
具体的には、管理対象となる端末やサーバー、クラウド環境の範囲、扱っている情報の種類と保管場所、アクセス権限、ログの取得と保管状況、委託先を含む運用ルールの有無を棚卸しします。これらが曖昧なままだと、委託範囲や責任分界が不明確になり、導入後のミスマッチや運用上の抜け漏れにつながります。
プライバシーマークやISMSの考え方は、こうした棚卸しやルール整備を進める際の整理軸として活用できます。認証の取得そのものが目的ではなく、情報の扱い方と管理体制を整えたうえで、BPOを当てはめることが重要です。
① 自社の課題と委託範囲を明確にする
まず最初に整理すべきなのは、「自社は何に困っているのか」「どこまでを外部に任せたいのか」という点です。
人材不足の解消が目的なのか、24時間監視体制の構築が目的なのか、あるいはインシデント対応力の強化なのかによって、選ぶべきサービスの内容は変わります。
自社の課題を具体的に言語化し、委託したい業務範囲を明確にしておくことで、サービス選定の軸がぶれにくくなり、導入後のミスマッチも防ぎやすくなります。
② サービスレベルと対応範囲を確認する
インシデントを検知した際に、どこまで対応してもらえるのかは、ベンダーごとに大きく異なります。たとえば、通知までが対応範囲なのか、一次対応や遮断措置まで含まれるのかといった点は、契約前に必ず確認しておく必要があります。
あわせて、対応時間が24時間365日なのか、平日日中のみなのかといった運用条件も重要な比較ポイントです。自社のリスク許容度や運用体制に合ったサービスレベルになっているかを、具体的な運用イメージとあわせて確認することが重要です。
③ 委託先の実績と専門性を確認する
委託先の実績や専門性は、サービス品質を見極めるうえで重要な判断材料になります。自社と同じ業種や規模の企業への支援実績があるかどうかは、運用イメージを持つための参考になります。
また、どのような分野に強みを持っているのか、セキュリティアナリストの体制やスキル水準はどうなっているのかといった点も確認しておくと、導入後の期待値とのズレを減らすことができます。
④ セキュリティ体制と認証資格を確認する
セキュリティBPOでは、自社の機密情報やログ情報を外部に預けることになります。そのため、委託先自身のセキュリティ体制がどのように整備されているかは、必ず確認すべきポイントです。
プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの第三者認証を取得しているかどうかは、情報管理体制を客観的に確認するための一つの目安になります。あわせて、事故発生時の対応方針や報告体制についても、事前にすり合わせておくことが重要です。
まとめ
本記事では、セキュリティBPOの基本から、その必要性、メリット・デメリット、そして失敗しないための選び方までを整理してきました。深刻な人材不足やサイバー攻撃の高度化が進む中で、セキュリティBPOは、専門性と運用体制を補完する現実的な選択肢の一つと言えます。一方で、すべてのリスクをゼロにできるわけではなく、どれだけ対策を講じても、インシデントが発生する可能性を完全に排除することはできません。
そのため、重要なのは「予防と運用の強化」と「万が一の被害への備え」を分けて考えることです。
セキュリティBPOによって日常の監視・運用や体制を強化しつつ、インシデント発生時の調査費用、復旧費用、損害賠償などの経済的リスクに備える手段として、サイバー保険を組み合わせて検討することで、より現実的で持続可能なリスクマネジメント体制を構築しやすくなります。
特にWebサービス等を提供している企業は、インシデントが起こった際のリスク分散が重要となります。
事故発生後の損害賠償や対応費用に備え、サイバー保険の一括見積で、補償内容を比較・検討しておくことをおすすめします。
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Wikipedia:ビジネス・プロセス・アウトソーシング
経済産業省:情報セキュリティサービス基準
経済産業省:サイバーセキュリティ経営ガイドライン
経済産業省:情報技術利用促進課IT人材需給に関する調査(概要)
















