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2025.6.4 サイバー攻撃

DOS攻撃とは?DDoS攻撃との違い・種類・企業の対策方法まで解説

DOS攻撃とは?DDoS攻撃との違い・種類・企業の対策方法まで解説
近年、企業のWebサイトやオンラインサービスが突然つながらなくなる、そんな事態の背景に「DOS攻撃」が潜んでいるケースが増えています。
DOS攻撃は、古くから存在する手法でありながら、現在でも企業活動に深刻な影響を与える脅威の一つです。
本記事では、DOS攻撃の意味や仕組み、DDoS攻撃との違い、主な攻撃の種類やその影響、そして企業が取るべき具体的な対策方法について、わかりやすく整理して解説します。

DOS攻撃とは?その意味と仕組みをやさしく解説

DOS攻撃(Denial of Service attack/サービス拒否攻撃)とは、特定のWebサイトやサーバーに過剰な通信を送りつけ、通常のサービス提供を妨害する攻撃手法です。
攻撃者は、大量のアクセスによって対象のシステムを処理不能な状態に陥らせ、一時的なサービス停止や業務妨害を引き起こします。

どのシステムにも処理可能な範囲には限りがあるため、攻撃によって過剰な負荷がかかると、サービスの応答が極端に遅くなったり、完全に停止したりすることがあります。

特に以下のようなリソースが標的になります。
・ネットワーク帯域幅(通信回線の処理能力)
・CPU処理能力(リクエストを計算処理する力)
・メモリ容量(一時的にデータを保持する領域)
・同時接続数(一度に処理できるユーザー数)

攻撃者はこれらに集中的な負荷をかけることで、システム全体の正常な動作を妨げようとします。

DDoS攻撃との違いとは?

DOS攻撃とよく似た言葉に「DDoS攻撃」があります。
DDoS攻撃は「Distributed Denial of Service attack」の略称で、日本語では「分散型サービス拒否攻撃」と訳されます。
どちらも、サーバーやネットワークに過剰な負荷をかけてサービスを停止させるという点では共通していますが、攻撃の仕組みと規模には大きな違いがあります。

DOS攻撃は単一の発信元からの通信が多く、IPアドレスを特定できれば、遮断によって攻撃を抑えやすい傾向があります。

一方、DDoS攻撃では、マルウェアに感染させた複数の端末を遠隔操作し、一斉に攻撃を仕掛けます。こうした端末群は「ボットネット」と呼ばれ、地理的にも分散しているため、個別に対処するのは極めて困難です。

DDoS攻撃はDOS攻撃に比べて、攻撃規模が大きく、防御の難易度も高いのが特徴です。短時間で大量のトラフィックを生じさせるため、企業のWebサービスが即座にダウンし、業務に深刻な影響を及ぼすリスクもあります。

DOS攻撃が行われる主な目的とは?

攻撃者がDOS攻撃を仕掛ける動機は様々です。ここでは、代表的な目的を4つ紹介します。

金銭要求(ランサムDDoSなど)

近年増加しているのが、攻撃を停止する見返りとして金銭を要求する「ランサムDDoS(RDDoS)」と呼ばれる手口です。
攻撃者はまず小規模な攻撃を行い、ターゲット企業に脅迫状を送付します。
「指定期日までに金銭を支払わなければ、さらに大規模な攻撃を行う」と脅し、金銭を詐取しようとします。

業務妨害や社会的信用の失墜

競合他社のウェブサービスを妨害し、自社の優位性を確保しようとする目的や、特定の企業や組織の活動に対する抗議、個人的な恨みや嫌がらせとして行われることもあります。
サービス停止により、ターゲット企業の業務遂行能力を削ぎ、社会的な信用を失墜させることを狙います。

他のサイバー攻撃の陽動や隠蔽

DOS攻撃は、他のより深刻なサイバー攻撃(不正アクセスや情報窃取など)の準備や実行中に、セキュリティ担当者の注意をそらす「陽動」として利用されることがあります。
また、攻撃の痕跡を大量のログで隠すために使われることもあります。

個人的な恨みや愉快犯的な動機

特定の個人や組織に対する私的な恨みを晴らす、あるいは自分の技術力を誇示したい、騒ぎを起こしたいといった愉快犯的な動機で行われるケースもあります。
このような動機の場合、予告なく突然攻撃されることが多いのも特徴です。

政治的・社会的な主張を目的とした攻撃

近年では、特定の国家や企業、団体に対する抗議や主張の手段として、DoS攻撃が行われるケースも増えています。
こうした攻撃は「ハクティビズム(Hacktivism)」と呼ばれ、政治的・宗教的・社会的な信念に基づいて行動する個人やグループが関与します。
実際に、国際紛争や社会運動の際に、政府機関や関連企業のWebサービスがDDoS攻撃を受ける事例が報じられています。
攻撃者は、標的のサービスを停止させることで、世間の注目を集め、自らの主張を可視化しようとするのです。

なぜDOS攻撃は危険なのか?企業が直面する4つのリスク

DOS攻撃は、単に一時的な表示不具合を引き起こすだけではありません。場合によっては、企業の事業活動全体に深刻な影響を与える可能性があります。ここでは、企業が直面する主なリスクを整理します。

1. サービス停止による機会損失
最も顕著な影響は、Webサイトやオンラインサービスの停止です。顧客がサイトを閲覧できなくなり、商品購入や申込みなどのビジネス機会を失う結果につながります。
特に、ECサイトや金融機関のように24時間稼働が前提となる業種では、1時間の停止でも多額の売上損失が発生することがあります。

2. 経済的な損害と復旧コスト
サービス停止は、売上の逸失だけでなく、契約上のトラブルを引き起こす可能性もあります。
たとえば、顧客とSLA(サービス品質保証契約)を結んでいる場合、停止によって違約金や賠償責任が発生することがあります。
さらに、原因調査・復旧作業・再発防止策などにかかる人件費や外部委託費も、企業にとって大きな負担となります。

3. 信頼性の低下とブランド毀損
サービス停止が繰り返されると、顧客や取引先からの信頼が損なわれます
「この会社のサービスは不安定」「セキュリティ対策が不十分」といった印象が定着し、ブランドイメージの低下や顧客離れにつながる恐れがあります。
一度失った信用を取り戻すには、時間もコストもかかります。

4. 他のサイバー攻撃の足がかりになるリスク
DOS攻撃は、単独で実行される単なる妨害行為と思われがちですが、 実際には他のサイバー攻撃の「準備段階」として利用されるケースもあります。
たとえば、セキュリティ担当者の注意を引きつけて別の不正侵入を行ったり、DOS攻撃によって発生する大量の通信ログに紛れさせて痕跡を隠したりといった陽動作戦の一環です。
さらに、過剰な負荷でシステムを不安定にさせることで、通常では見えなかった脆弱性を露出させる狙いもあります。

このように、DOS攻撃は単なる妨害ではなく、本格的な情報窃取やマルウェア感染の前触れとして使われることもあるため、見過ごさず他の攻撃と連動した脅威として捉えることが重要です。

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DOS攻撃の主な種類とそれぞれの特徴

DOS攻撃にはさまざまな手法が存在し、攻撃者は対象システムの特性に応じて使い分けています。ここでは代表的な6つの手法を紹介します。

SYNフラッド攻撃とは?
TCP接続時の「3ウェイハンドシェイク」の仕組みを悪用し、サーバーに大量のSYNパケットを送りつけて、接続待ち状態を溢れさせる攻撃です。処理待ちの状態を大量に作ることで、新たな接続を受け付けられなくします。

ACKフラッド攻撃とは?
確立済みのTCP通信に用いるACKパケットを、偽装されたIPアドレスから大量に送信します。サーバーやファイアウォールが存在しない接続に反応しようとするため、リソースが消費されます。

UDPフラッド攻撃とは?
UDPは接続確認のない通信方式です。攻撃者は大量のUDPパケットをサーバーのポートに送り、応答確認の処理を大量に発生させて負荷をかけます。

HTTPフラッド攻撃とは?
Webサーバーに対して、GETやPOSTリクエストを大量に送る攻撃です。見た目が正規のアクセスと変わらないため、WAFなどでも検知・遮断が難しいことがあります。

Slowloris攻撃とは?
HTTPリクエストを小分けにして断続的に送信し、サーバーの接続を長時間占有する手法です。少ない通信量でサーバーの同時接続数を使い切るため、効率的かつ見つかりにくい攻撃とされています。

脆弱性を突いたDoS攻撃とは?
DoS攻撃の中には、システムやソフトウェアの脆弱性(バグや設計上の欠陥)を悪用する手法もあります。
特定の入力や通信によって、サービスが異常終了したりメモリリークを起こしたりする脆弱性を狙い、最小限のパケットでサービスを停止させることができます。

このタイプの攻撃は、脆弱性が存在する限り効果が持続するため、既知の脆弱性への対策が不十分な環境では深刻なリスクとなります。
たとえば、古いバージョンのアプリケーションに存在するDoS系の脆弱性(例:ApacheやOpenSSLなど)を突く攻撃などが知られています。

その他の手法:LAND攻撃・Smurf攻撃など
LAND攻撃は、送信元と宛先のIPアドレスを同一にして送信する手法で、古いOSでのシステム停止を引き起こします。
Smurf攻撃は、偽装されたICMPリクエストをネットワーク全体に拡散し、応答が一斉に標的に返ることで負荷を発生させます。

DOS攻撃への対策方法|企業が今すぐできる備え

DoS攻撃は突然発生し、企業の事業継続に大きな影響を与える可能性があります。ここでは、企業が実施できる主な対策方法を4つのステップに分けて紹介します。

1. 攻撃を早期に検知する仕組みを整える
まず重要なのは、通常とは異なるトラフィックの急増や不審な接続をいち早く察知することです。
アクセスログの常時監視や、異常検知に対応したセキュリティ監視ツール(IDS:不正侵入検知システム/IPS:不正侵入防御システム)の導入が有効です。
最近ではAIを活用した振る舞い検知型のソリューションも登場しており、迅速なアラート対応につながります。
あわせて、OSやネットワーク機器に最新のセキュリティパッチを適用し、不要なポートやサービスを閉じておくといった基本設定の見直しも重要です。

2. 不正アクセスを遮断する仕組みを導入する
DoS攻撃の多くは、特定のIPアドレスや地域から大量のアクセスが集中します。
こうした攻撃を遮断するには、ファイアウォールやWAF(Web Application Firewall)の導入が有効です。
ファイアウォールは通信の入口で不審なトラフィックを制限し、WAFはWebアプリケーションへの不正なリクエストをブロックします。
さらに、ジオIPフィルタリング(特定の国や地域からのアクセス制限)や、異常なリクエスト数のIPアドレスを自動でブロックする設定も有効です。

3. 攻撃に強いシステム構成にする
システム側での耐性強化も重要です。
CDN(コンテンツ配信ネットワーク)やロードバランサ(負荷分散装置)を利用すれば、アクセスを複数のサーバーに分散でき、単一サーバーの負荷集中を防ぐことができます。
また、クラウド型WAFやDDoS対策サービスを併用することで、攻撃の集中を回避しやすくなります。
加えて、ネットワーク帯域やCPU、メモリといったサーバーリソースに余裕を持たせておくことも、被害を最小限に抑える上で有効です。

WAFについての詳しくは下記記事をお読みください。
WAFとは?仕組み・種類・メリット・選び方をわかりやすく解説【企業向けセキュリティ対策】

4. 日常的な監視とインシデント対応体制を整える
DoS攻撃は事前対策だけでなく、発生時の対応体制も重要です。
サーバー監視を日常的に行い、異常な通信が検知された場合には速やかに遮断・調査を行える体制を整えておきましょう。
また、インシデント発生時の対応計画(インシデントレスポンスプラン)として、社内での情報共有ルールや復旧手順書を策定し、定期的な訓練を行うことで実効性を高めることが重要です。

対策の注意点にも目を向ける
DoS攻撃への防御策は完全ではなく、完璧に防ぐことは難しいという現実もあります。
特に、正規のアクセスと見分けがつかないタイプの攻撃(例:HTTPフラッド)では、過剰な遮断が顧客に影響を与えることも。
そのため、対策は“止める”だけでなく、事業への影響を最小限に抑える視点でバランスを取ることが重要です。

DOS攻撃対策で注意すべきポイント|落とし穴を避けるために

DOS攻撃対策を実施する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておくことで、より効果的でバランスの取れたセキュリティ対策を実現できます。

過剰な防御による正規ユーザーへの影響

セキュリティ対策を強化しすぎると、正規のユーザーからのアクセスまで誤ってブロックしてしまったり、サービスの利便性を損ねてしまったりする可能性があります。
たとえば、アクセス制限を厳しくしすぎると、本来アクセスできるはずの顧客がサービスを利用できなくなる事態も考えられます。
セキュリティレベルと利便性のバランスを考慮し、適切な設定を行うことが重要です。

攻撃手法の進化と継続的な対策見直しの必要性

サイバー攻撃の手法は日々進化しており、新たな脆弱性や攻撃テクニックが次々と登場しています。
一度対策を講じたからといって安心するのではなく、最新の脅威情報を収集し、自社のセキュリティ対策が依然として有効かを定期的に見直す必要があります。
セキュリティ対策は、継続的な改善が求められるプロセスです。

専門知識を持つ人材の確保または外部専門家の活用

効果的なDOS攻撃対策の導入・運用には、ネットワークやセキュリティに関する専門的な知識と経験が不可欠です。
社内に十分なスキルを持つ人材がいない場合は、セキュリティ研修を通じた人材育成や、信頼できる外部のセキュリティ専門家への相談・委託も検討しましょう。
専門家の知見を活用することで、自社に最適な対策を効率的に導入・運用することが可能になります。
これらのポイントを踏まえ、単なるツール導入にとどまらず、計画的かつ継続的に取り組む姿勢が、ビジネスの安定的な継続につながります。

まとめ:DOS攻撃への適切な備えと、サイバー保険を

DoS攻撃は、企業のサービス提供を妨害し、経済的損失や信用の失墜をもたらす深刻な脅威です。
自社のビジネスを守るためには、DoS攻撃のリスクを正しく認識し、多層的な防御策を講じることが不可欠です。

しかし、どれだけ対策を講じていても、100%防げるとは限りません。
万が一、攻撃による被害が発生した場合に備えて、復旧費用や賠償リスクをカバーできる「サイバー保険」への加入も、企業のレジリエンス(事業継続力)を高める上で重要です。

特にWebサービスを提供している企業では、一度のインシデントで多額の損失や顧客離れにつながる可能性があるため、
「技術面での防御」と「保険によるリスク分散」の両面からの備えが求められます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. DoS攻撃とDDoS攻撃の違いは何ですか?
DoS攻撃は単一の発信元からの攻撃であるのに対し、DDoS攻撃は複数の端末(ボットネット)から同時に行われる「分散型」攻撃です。DDoSの方が防御が困難で、被害も大きくなりやすいです。

Q2. 自社サイトがDoS攻撃されたかどうかは、どう判断できますか?
突然のアクセス集中、サーバー負荷の異常上昇、応答遅延・エラー頻発などが兆候です。監視ツールやログ分析によって早期発見が可能です。

Q3. どんな企業が狙われやすいですか?
特定の社会的立場にある企業、ECサイトや決済サービスなど24時間稼働が前提の事業、注目を集める企業などが標的になりやすい傾向にあります。

Q4. DoS攻撃は完全に防ぐことはできますか?
完全に防ぐのは難しいですが、対策の有無で被害規模には大きな差が出ます。検知・遮断・分散・復旧体制などを組み合わせ、リスクを最小限に抑えることが重要です。

Q5. サイバー保険ではDoS攻撃の被害もカバーされますか?
はい、サイバー保険の多くはDoS/DDoS攻撃による損害(復旧費用、営業損失、賠償リスクなど)をカバーしています。契約内容によって補償範囲が異なるため、比較検討が重要です。
「サイバー保険ガイド編集部」は、法人向け保険を専門に取り扱う保険代理店による情報発信チームです。 サイバー攻撃や情報漏えいといったリスクに備えるため、保険の仕組みや補償内容のほか、企業のリスクマネジメントに役立つ情報をわかりやすくお届けしています。 経営者や情報管理担当の方々が、安心して対策を検討できるよう、実務に即した視点で解説しています。
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