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2025.5.13 セキュリティ対策

NGAV(次世代アンチウイルス)とは?EPP・EDRとの違いを徹底解説

NGAV(次世代アンチウイルス)とは?EPP・EDRとの違いを徹底解説

従来のアンチウイルスでは検知できなかった攻撃に、エンドポイントが日々さらされていることをご存知でしょうか。
例えば、ファイルを使用せずに侵入する「ファイルレス攻撃」や、未知のマルウェアを利用した「ゼロデイ攻撃」など、サイバー攻撃の手法は急速に進化しています。
これらの高度な脅威に対応するために登場したのが、「次世代アンチウイルス(NGAV)」です。
この記事では、NGAVの特徴や従来型アンチウイルスとの違い、注目される背景、そして主な機能までをわかりやすく解説します。

NGAV(次世代アンチウイルス)とは?

次世代アンチウイルス(Next Generation Anti Virus:NGAV)は、従来型アンチウイルスの限界を克服するために開発されたエンドポイント(※)セキュリティソリューションです。
※エンドポイント:ネットワークの末端にあるデバイス(PC、スマホ、サーバー、プリンター、IoT 機器など)

高度な脅威検知・防御技術を搭載し、未知の攻撃にも対応できる点が特徴です。
NGAVは、単純なマルウェア検知にとどまらず、AIや機械学習を活用して高度な脅威や未知の攻撃も検出が可能です。

NGAVの主な特徴

従来型のアンチウイルスソフトが既知のマルウェアをパターンマッチングで検知するシグネチャベースの防御に留まるのに対し、NGAVは挙動分析や機械学習によって攻撃の兆候を察知し、ゼロデイ攻撃にも対応できる先進的な防御機能を提供します。

【NGAVの主な特徴5つ】
1.予測型防御:AI・機械学習により未知の脅威を予測的に検知・防御
2.リアルタイム監視:システム挙動を常時監視し、不審な動きを検知
3.クラウド連携:クラウドベースの脅威インテリジェンスと連携
4.軽量設計:端末への負荷を最小限に抑えた設計
5.多層防御:複数の技術を組み合わせた多層防御アプローチ

従来のAV(アンチウイルス)との違いは何か

従来のアンチウイルス(AV)と次世代アンチウイルス(NGAV)の最大の違いは、脅威検出アプローチと対応可能な脅威の種類にあります。
NGAVは従来のAVの限界を超える先進的な機能を備えており、現代のサイバー脅威に対してより効果的な保護を提供します。

【従来型AVとNGAVの主な違い】
比較項目従来型AVNGAV
検知方法シグネチャベース(パターンマッチング)振る舞い分析+機械学習+シグネチャ
未知の脅威への対応限定的高い検知能力
リソース消費比較的大きい最適化されている
クラウド活用限定的積極的に活用
検知可能な脅威主にファイルベースのマルウェアファイルレス攻撃、ランサムウェア、高度な標的型攻撃など
管理機能基本的な管理高度な可視化と集中管理

従来AVの弱点

従来のAVはウイルス定義ファイル(シグネチャ)を定期的に更新し、既知のマルウェアパターンとマッチングする方式が主流でした。
このアプローチには、新種のマルウェアや変種には対応できないという大きな弱点があります。
一方、NGAVは機械学習や振る舞い分析を駆使して、これまでに見たことのない新種の脅威でも検知できるよう設計されています。
さらに、従来型AVがファイルベースの脅威に主眼を置いているのに対し、NGAVはファイルレスマルウェアや高度なエクスプロイト、不審な挙動パターンなど、より広範な脅威に対応可能です。
また、エンドポイントへの負荷も最適化されており、セキュリティ強化とパフォーマンスの両立を実現しています。

NGAVが重視されるようになったセキュリティ事情とは?

近年、サイバー攻撃の高度化・複雑化が進む中、従来型セキュリティ対策では対応が難しくなっています。こうした状況を背景にNGAVが重視されるようになりました。
企業や組織を取り巻くセキュリティ環境が劇的に変化する中、新たなアプローチが求められています。

【NGAVが注目される5つの背景】
1.サイバー攻撃の高度化:標的型攻撃やファイルレスマルウェアなど検知困難な攻撃の増加
2.被害規模の拡大:ランサムウェア被害の巨額化(平均復旧コスト約2億円超)
3.リモートワークの普及:社外からのアクセス増加によるセキュリティ境界の曖昧化
4.コンプライアンス要件:各国のセキュリティ規制強化による高度な対策の必要性
5.人材不足:セキュリティ専門家の不足による自動化・効率化の需要増

拡大するランサムウェア攻撃による被害

日本国内においては、2020年以降ランサムウェア攻撃が急増しており、企業のセキュリティ意識が大きく変化しています。
警視庁の調査によれば、2024年の国内ランサムウェア被害報告は前年比で約21%増加しました。
また、トレンドマイクロの調査では、ランサムウェアの平均被害金額が2.2億円にのぼるとされています。
これに加え、テレワークの普及に伴いエンドポイントの保護重要性が高まったこと、また改正個人情報保護法や各業界のセキュリティガイドラインの強化により企業の情報セキュリティ対策の重要性が増しています。
NGAVのような新しい防御手段の導入が、現実的な脅威に対応するうえで急務となっているのです。

出典:警視庁「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」よりランサムウェアの被害報告件数
出典:警視庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」 よりランサムウェアの被害報告件数
出典:トレンドマイクロ「セキュリティ成熟度と被害の実態調査 2024~CIO Lounge x トレンドマイクロ共同調査~」よりランサムウェアの平均被害金額
出典:総務省「令和5年通信利用動向調査」よりテレワーク導入率
出典:経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0」より業界のセキュリティ基準強化
出典:個人情報保護委員会「令和2年改正個人情報保護法 特集」個人情報取扱事業者の責務の追加によりエンドポイント保護強化


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NGAVの主な機能について

NGAVはその名が示す通り「次世代セキュリティ技術」を搭載しており、従来型アンチウイルスを大きく超える機能を提供します。
ここでは、NGAVの主要な機能を詳細に解説します。

AI・機械学習機能

NGAVの中核をなす技術がAI・機械学習です。この技術により、従来のシグネチャベースの検知を超えた高度な脅威検出が可能になります。
AIと機械学習は、NGAVにおいて次の役割を果たします。

【AIと機械学習の役割】
1. パターン認識:膨大な量のマルウェアサンプルから特徴を学習し、類似の脅威を検知
2. 異常検知:通常の動作パターンを学習し、逸脱する不審な挙動を特定
3. 予測分析・評価:過去の攻撃データに基づき、将来のリスクを予測

機械学習モデルはクラウドと連携して常に更新され、日々進化する脅威に対応します。
ディープラーニングを活用した製品では、より高度なパターン認識が可能となり、検知精度が向上しています。
NGAVのAI・機械学習機能の特徴として、誤検知(フォールスポジティブ)の低減にも注力している点が挙げられます。精度の高い学習モデルにより、正規のプログラムを不正と誤認識することを最小限に抑え、ビジネス継続性を確保しています。

振る舞い検知機能

振る舞い検知はNGAVの重要な機能の一つで、ファイルの特性だけでなく、システム上での動作パターンに基づいて脅威を識別します。この手法により、シグネチャでは検出できないファイルレスマルウェアや高度な攻撃も検知可能になります。
振る舞い検知が特に注目する監視対象は以下です。

【振る舞い検知の主な監視対象】
監視対象検知できる不審な挙動の例
プロセス動作異常なプロセス生成、権限昇格の試み
ファイル操作大量のファイル暗号化(ランサムウェアの特徴)
メモリ活動コード注入、バッファオーバーフロー攻撃
レジストリ変更永続化のための不正なレジストリ書き込み
ネットワーク通信不審なC&Cサーバーとの通信
振る舞い検知はリアルタイムで行われ、不審な活動が検出された場合は即座に対応アクションを実行します。

例えば、プロセスの停止、ネットワーク接続の遮断、システム管理者への警告などが自動的に行われます。
この機能により、ゼロデイ攻撃のような未知の脅威に対しても効果的な防御が可能となり、従来型AVでは検知が難しかった標的型攻撃やサプライチェーン攻撃などの高度な脅威にも対応できます。

サンドボックス機能

サンドボックス機能は、不審なファイルや挙動を安全な隔離環境で実行・分析する技術です。NGAVでは組み込みのサンドボックスまたはクラウドベースのサンドボックスを活用し、リスクなく脅威を検証します。
サンドボックス機能の主なプロセスは以下の通りです。

【サンドボックス機能の主なプロセス】
1.不審ファイルの隔離:潜在的なリスクを含むファイルを特定し隔離
2.安全な環境での実行:隔離環境内でファイルやコードを実行
3.動作分析:実行中の挙動を詳細に監視・記録
4.レポート生成:分析結果とリスク評価のレポート作成
5.防御アクション決定:分析結果に基づく適切な対応の実施

最新のNGAV製品では、クラウドベースのサンドボックスを活用することで、エンドポイントに負荷をかけずに高度な分析を行えるようになっています。
また、仮想環境検知を回避するような高度なマルウェアにも対応するため、多層的な検証技術を採用している製品もあります。
サンドボックス分析はリアルタイム保護と連携し、一度検証されたファイルの情報は他のエンドポイントとも共有されます。これにより、組織全体で脅威情報を共有でき、セキュリティ体制の強化へつながります。

NGAVと他製品との違い

セキュリティ市場には様々な種類のエンドポイント保護ソリューションが存在します。
ここでは、NGAVと他の主要なセキュリティ製品との違いを明確にし、どのような場面でNGAVを選択すべきかを解説します。

NGAVとEDRの違い

NGAVとEDR(Endpoint Detection and Response)は、どちらも現代のエンドポイント保護を担う技術ですが、目的や対応方針に明確な違いがあります。

【NGAVとEDRの比較】
主な目的脅威の予防と防御(Prevention)検知、調査、対応(Detection & Response)
検知後の対応脅威の自動ブロック・隔離詳細な調査・フォレンジック分析・対応
データ収集必要最小限(セキュリティ関連)広範なテレメトリデータ
運用の複雑さ比較的シンプル専門知識が必要
適した環境中小規模組織、限られたセキュリティリソース大企業、SOC運用環境、高度なセキュリティ体制
NGAVは主に『防御』に重点を置き、脅威を事前に検知して阻止します。
一方で、EDRは『対応』を重視し、インシデント発生後の調査や証拠収集、対応措置に特化しています。

実際の運用場面では、NGAVはより自動化された防御機能を提供し、セキュリティの専門家がいない環境でも効果的に機能します。
EDRはより高度な分析機能を持ち、セキュリティチームが詳細な調査を行うためのツールとして活用されます。 多くの組織では、NGAVとEDRを組み合わせた統合ソリューション(EPP: Endpoint Protection Platform)を導入することで、予防・検知・対応の全段階をカバーする包括的な保護を実現しています。

NGAVとEPPの違い

NGAVとEPP(Endpoint Protection Platform)は密接に関連していますが、その範囲と機能には明確な違いがあります。両者の違いを理解すれば、自組織に適したセキュリティソリューションが選択可能です。

【NGAVとEPPの比較】
比較項目NGAVEPP
定義次世代型のウイルス対策技術包括的なエンドポイント保護プラットフォーム
機能範囲主にマルウェア対策と脅威防御マルウェア対策に加え、DLP、暗号化、パッチ管理なども含む
位置付けEPPの中核コンポーネント複数のセキュリティ機能を統合したスイート
管理機能限定的集中管理、レポーティング、ポリシー設定など充実
費用比較的低コスト機能に応じて高コスト
NGAVはEPPの重要な構成要素であり、多くの場合、EPPの中核となるマルウェア対策エンジンとして機能します。
EPPはNGAVの機能を含みつつ、データ漏洩防止(DLP)、デバイス制御、パッチ管理、暗号化など、より広範なセキュリティ機能を提供します。

企業や組織がNGAV単体ではなくEPPを選択する主な理由は、ひとつの画面上で複数のセキュリティ機能をまとめて操作・管理できる利便性と、各機能間の連携による相乗効果にあります。
特に多数のエンドポイントを管理する大規模組織では、集中管理の恩恵が大きくなります。

一方、限られたリソースで最大限の脅威防御を実現したい中小規模組織では、NGAVに特化したソリューションを選択することで、コストを抑えつつ高度な防御を実現できる場合もあります。

EPP導入の傾向

近年、サイバー攻撃が高度化する中、エンドポイント全体を包括的に保護できるEPPへの需要が高まっています。
特にリモートワークの普及により、エンドポイント保護の重要性が増していることから、多くの企業がEPPの導入を進めています。
また、大規模組織では管理効率の向上を目的に、EPPを導入するケースが多く見られます。
一方、中小規模組織では、コストや運用負荷を抑えるため、NGAV単体での導入を選択するケースが少なくありません。

EPPとEDRの違いや連携について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをお読みください。
NGAV(次世代アンチウイルス)とは?EPP・EDRとの違いを徹底解説

まとめ :サイバー保険の活用

本記事では、NGAV(次世代アンチウイルス)の基本概念から主要機能、他のエンドポイントセキュリティ製品との違いまでを詳しく解説しました。
NGAVは、従来型アンチウイルスの限界を克服し、現代の高度なサイバー脅威に対応できる強力なセキュリティ技術です。特にAI・機械学習や振る舞い検知、サンドボックス機能を活用し、ゼロデイ攻撃やファイルレスマルウェアなど、これまで検知が難しかった脅威にも対応できる点が大きな魅力です。

しかしながら、NGAVだけで完璧な防御ができるわけではありません。現代のサイバーセキュリティには、多層的な防御対策と同時に、万が一の被害をカバーできるリスク管理が不可欠です。
特にランサムウェアや標的型攻撃による被害が増加している現状では、サイバー保険を活用したリスク分散が重要となります。

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